【歯周病による重度貧血】雑種猫 17歳7か月

【歯周病による重度貧血】雑種猫 17歳7か月

高齢の猫ちゃんの症例です。

吐血をし、他院で診察を受けた結果、鼻腔内腫瘍の可能性を示唆され治療を受けたものの数日後再び出血があったため、当院を受診されました。

当院であたらめて検査を行った結果、吐血したわけではなく、歯が悪いところから大出血を起こしたのではないかと診断しました。

【右奥歯】

     

【左奥歯】

左の奥歯が出血原因と判断しました。

 

既に重度の貧血であり、また年齢も17歳と高齢で血液検査の結果から腎臓も悪く

手術のリスクは高いものの、このまま放置し再度出血を起こせば命にかかわる事態になることをご説明し、

飼い主様としても悩ましいところではあったと思いますが全身麻酔下での手術を決断されましたので数日後処置を行いました。

年齢、麻酔リスク、手術中の出血量などを考慮し、様子を見ながらとはなりますが、なるべく短時間での処置を行います。

 

【術後の様子】

左右それぞれの奥歯を抜歯して終了しました。

【術後2週間後】

麻酔時間を極力短くするため抜糸後歯肉縫合は行いませんでしたが、ふさがってきています。

また、貧血も改善しました。

初来院時 RBC 5.07 HCT 21.8% → 手術直後 RBC 2.03  HCT 8.6%  →2週間後RBC 5.91 HCT 26.4%

手術時の出血は思ったほど多く無く、術後の酷い貧血は出血が持続的にあったためと思われます。

術後は食欲も改善し、2週間後には貧血も術前より大幅に改善されています。

年齢などから手術前は悩まれたはずですが、「思い切って手術してよかった」とのお声をいただきました。

 

治療前

左奥歯から出血しています

治療後

術後2週間後です。歯を抜いた際にできた穴はふさがり、赤みも引いてきています。
術後2-3日はさすがに食欲が落ちましたが、その後は食欲も回復し、明らかに術前よりも元気になったとのお声をいただきました。